OpenVPN vs WireGuard vs Lightway – どのVPNプロトコルを使うべきか?
数年前まで、VPNプロトコルの選択は単純明快なものでした。間違いなくOpenVPNが最も優れた選択肢であり、Macやモバイルデバイスを使用している場合はIKEv2も候補に挙がるくらいで、それ以外の選択肢はほとんどなかったからです。
しかし、近年ではOpenVPNより高速かつ安全性の高いプロトコルがオープンソースとして公開されており、VPNプロバイダーのほぼすべてがこのオープンソースかオープンソースをベースに開発をしています。
これら新しいプロトコルのうち、最も人気の高いプロトコルがWireGuardであり、その使い勝手の良さからあらゆるVPNプロバイダーが採用しています。しかし、より自社の強みを作るためにExpressVPNなどは自社開発(ただし、これも元はオープンソースです)したLightwayと呼ばれるプロトコルも使用しています。
そこで、今回はVPN業界で最も重要なプロトコルである OpenVPN、WireGuard、Lightway の3つを比較して、特定の目的に最も適しているのはどれか、また、プロトコルによってどのVPNプロバイダーと契約すれば良いのかを確認していこうと思います。
セキュリティ
VPNを導入する上で何よりもまず重要なことは、あなたの情報を保護する”セキュリティ”です。当然のことながら、今回ご紹介しているプロトコルは世界中で広く採用されており、すべて安全に使用することが出来る、かつ優れたプライバシーポリシーを提供していますがそれでも差があるのかを検証していきます。
OpenVPNのセキュリティ対策
OpenVPNは20年近く採用されているため、多少肥大化し老朽化したコードをベースにしていますが、それでもセキュリティに関しては非常に堅固なプロトコルです。OpenVPNは世界中で最も使われているSSLライブラリであるOpenSSLを使用しており、かつオープンソースであるため、誰の目から見ても分かる安全性を担保してきました。
WireGuardのセキュリティ対策
WireGuard は、OpenVPNと違い、数年前に高速、軽量、かつ安全であるように設計、開発されたオープンソースです。しかし、プライバシーよりも高速、軽量などユーザーメリットを追求していることからセキュリティ面を最優先にしているわけではありません。
具体的には、WireGuardはIPアドレスをサーバーに保存し高速な通信を実現していますが、ゼロ・ログ・ポリシーを謳うVPNにとってそもそもIPアドレスをサーバーに保存していること自体が問題だからです。とは言え、NordVPN、Surfshark、IVPNなど大手のVPNプロバイダーはすべて、IPアドレスの保存を停止するパッチを適用したWireGuard、またはWireGuardベースのプロトコルを提供しているためセキュリティ対策は出来ているのでご安心ください。
Lightwayのセキュリティ対策
最後に、Lightwayです。WireGuardと同様に、LightwayはwolfSSLを使用してゼロから構築されており、そのコードはOpenVPNのよりもはるかに綺麗で、高速な通信を可能にしています。また、オープンソースであり、Cure53による完全な監査を受けているのも大きな特徴です。
そのため、先ほど挙げたWireGuardとは異なり、Lightwayを使用するために必要なパッチはありません。だからこそLightwayを使用しているVPNプロバイダーは極めて安全性が高いと言えるのです。
セキュリティ面から比較した総評
一番はLightwayでしょう。もちろん、ちゃんとプロバイダーを選べば極めて高速な通信を提供するWireGuardのVPNでも問題はありません。OpenVPNもLightwayに限りなく近いレベルのセキュリティと言うことも出来ますが、近年は他のプロトコルの進化に追従出来ていないこともあって優先度はかなり低いと言えるでしょう。
通信速度
セキュリティに次いで不可欠な要素、それは高速な通信速度です。そして、最新のプロトコルがOpenVPNに対して圧倒的な優位性を持っているのがこの点でしょう。
私たちはVPNプロバイダーをテストする際、1Gbpsの回線で何度もテストを行い、その実力を確認しています。速度データは日々変化するものですが、繰り返しテストを行うことで、どのVPNが高速で、どのVPNが低速であるかを効果的に判断することができます。
WireGuardを使用した場合、最速を誇るのはTorGuardの950Mbpsで、この数値は驚異的という他ありません。以下、900MbpsのHide.me、890MbpsのIPVanish、850MbpsのCyberGhost、790MbpsのSurfsharkが僅差で続いています。通信速度で比較すると、WireGuardを採用しているVPNプロバイダーは間違いありません。
ExpressVPNだけがLightwayを使用しており、最高速度は630MbpsとWireGuardを採用しているVPNプロバイダーに比べると数値上やや物足りなさを感じます。しかし、実際には、LightwayとWireGuardはあなたに遅いと感じさせるようなことは決してありません。特に、モバイル通信や低速回線を使っている場合は、なおさらでしょう。単純な通信速度だけで言えばLightwayよりもWireGuardが優れているのは間違いありませんが、Lightwayには他のどのプロトコルよりもはるかに速く確実に接続を確立したことは特筆すべき点です。
しかし、OpenVPNをこれからも利用していくのは流石に許容し辛いと思います。OpenVPN接続の最速記録はMullvadの490Mbpsで、Hide.meの450MbpsとProtonVPNの440Mbpsがそれに続いています。しかし、平均に言えば、150MbpsのSurfshark、180MbpsのIVPN、160MbpsのIPVanish、そして250MbpsのNordVPNと全体的に低速であることは事実です。
そのため、速度を重視するのであれば、LightwayやWireGuardを提供しているVPNに登録することを強くおすすめします。これは通信回線の高速化に伴い、OpenVPNでは処理が限界にきてしまっただけでしょう。
コンテンツに対する規制の回避
コンテンツに対する政府の規制を回避することは、最も重要なVPN利用の1つであり、ここでもプロトコル間に明確な違いがあります。
規制の回避とは、中国、トルコ、ロシアなどの政府によってインターネットの規制が行われている国々の情報を閲覧することです。実際、ステルスモードを提供するSurfsharkではこういった国々の情報を素早くキャッチすることが出来ますが、デフォルトのWireGuardからOpenVPNに切り替えるようにユーザーに通知しています。つまり、これはWireGuardでは出来ないことであり、OpenVPNであれば出来ることになるのです。
一方で、Lightway がウェブサイトやコンテンツの包括的な禁止を避けるのに有効であるという報告を見たこともありますが、WireGuardと同様にLightway でも出来ないことが多くありました。この件に関するどのVPNのFAQを見ても、「OpenVPNに切り替えてください」とあるので、実際にはそういった政府の規制を回避するためにはOpenVPNを使うしか選択肢がないと考えた方がいいでしょう。
しかし、ありがたいことに、ほぼすべてのVPNプロバイダーがWireGuardに加えOpenVPNをサポートしており、利便性は全く下がらないまま規制の回避をすることが出来るのです。
地域限定コンテンツへのアクセス
地域限定で配信されたストリーミングサイトやコンテンツのブロックを解除する場合、選択するプロトコルは間違いなく違いを生みます。
OpenVPNとLightwayはどちらもUDPとTCPをサポートしており、ストリーミングに問題がある場合は、一方から他方へ切り替えると解決する場合があります。ほとんどの場合、UDP の方がパフォーマンスが速いため、UDP を使用することをお勧めしますが、TCP の方が効果的に接続できる場合もあります。
WireGuard は UDP 専用であるため、ストリーミングに問題がある場合、モードを変更しても効果があるかどうかをテストすることはできません。しかし、クラス最高の速度を誇るため、バッファリングが発生したままになることはまずありません。
OpenVPNは速度が遅いためストリーミングには若干不向きと言えます。
こうして考えてみるとLightwayが最も優れたプロトコルであるのは間違いありませんが、若干とは言え最高速度がWireGuardに劣る点から行くと、LightwayとWireGuardはどちらもストリーミングに適したプロトコルと言えるでしょう。
まとめ – OpenVPN vs WireGuard vs Lightway – どれがベストか?
多くの質問と同様に、これに対する答えは1つではありません。OpenVPNは今でも非常に効果的なプロトコルであり、これからも高品質なVPNサービスの中で機能提供され続けることになるでしょう。
しかし、日常的な使用においては、私たちがOpenVPNから離れ、WireGuardやLightwayのようなものを受け入れているのか、その理由は明らかでしょう。WireGuardやLightwayに関連する重大な問題が出てこない限り、最新のプロトコルの方が圧倒的に通信速度が速く、セキュアに作られているからです。
だからこs、今後の中心は間違いなくWireGuardとLightwayです。しかし、現時点ではどちらのプロトコルが優れているか?というよりもこれらのプロトコルを用いてどのVPSが流行るか?の方が重要なことかもしれません。
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